【寄稿】ターミナルズ茨木 Sakiさん|誰かが企画したわけじゃない。「また明日ね」が続いた、アレッシオと過ごした5日間の送別ウィーク
入居者さんからソーシャルアパートメントでの体験をお届けしてもらう寄稿コーナー。
今回はターミナルズ茨木にお住まいの「Saki」さんによるコラムです。
ターミナルズ茨木の住人・アレッシオさんの帰国をきっかけに始まった「送別ウィーク」。大きなイベントを企画したわけではなく、住人たちが自然と集まり、気づけば月曜日から金曜日まで、毎日のように誰かと食卓を囲む一週間になりました。
そんなターミナルズ茨木らしい、温かな「送別ウィーク」の様子を、住人のSakiさんにレポートしていただきました。
それでは、Sakiさんにバトンタッチ!
こんにちは! ターミナルズ茨木住人のSakiです。入居して約1年。毎日ラウンジで住人のみんなとおしゃべりしたり、ごはんを食べたりしながら楽しく過ごしています。
そんなある日、いつものようにラウンジで話していると、イタリア出身のアレッシオから帰国する話を聞きました。「日本に住んでみたい」という夢を叶えるため来日し、ここで暮らして約9ヶ月。最初は日本語での会話に苦戦していた彼ですが、送別会の頃には簡単なやりとりなら日本語でこなすほどに。
朝はコーヒーを飲み、仕事終わりにはビリヤードを楽しむ。誰かがキッチンに立つと「何作ってるの?」と自然に輪に入ってくる。そんな人との間に壁を作らない彼だからこそ、帰国の話を聞いたときに「最後にごはんを食べよう」と思った人が一人ではありませんでした。
「月曜日は何する?」「木曜日にたこ焼きやろう」
次々と彼を誘って予定が増えていき、誰かが企画したわけでもないのに気づけば月曜日から金曜日まで毎日集まることに。こうして始まったのが、私たちの「アレッシオ送別ウィーク」でした。
本場カルボナーラと、卒業試験のたこ焼き
送別ウィークは、アレッシオによる「本物のカルボナーラを食べさせてあげよう!」という企画からスタートしました。
平日の夜にもかかわらず、「今日カルボナーラの日だよね?」「間に合った!」と、仕事終わりの住人が続々とラウンジへ。大きなキッチンでは、アレッシオをメインシェフに、パスタを茹でる人、ベーコンを炒める人など、自然と役割分担ができていきます。フライパンを4つも並べてテンポよく料理が進む光景は、まるで活気あるレストランのようでした。
この日のアレッシオは、まさに本場のシェフ。料理に集中するあまり、日本語や英語に混ざってついイタリア語が出てしまう場面も。英語が得意ではないメンバーも、一生懸命耳を傾けながら「次はこれ?」「これで合ってる?」と確認し、みんなで協力しながら料理を進めていきました。
生クリームを使わない本場のカルボナーラ。私たちが一番驚いたのは、そのチーズの量です。
他のメンバーがチーズを入れていると、アレッシオから「まだまだ足りない!もっともっと!」の声。「え、まだ入れるの?」「本当にいいの!?」と驚く私たちの反応を見て、このリアクションを待っていたと言わんばかりに楽しそうなアレッシオ。言われるままに、たっぷりのチーズを加えていきました。
完成したカルボナーラは、今まで食べたことがないほど濃厚で絶品!10人でテーブルを囲みながら、「カルボナーラってイタリアでもよく作るの?」「日本での生活はどうだった?」と聞いたり、「みんなで万博に遊びに行ったとき、アレッシオもいたっけ?」「そのときはまだ日本に来る前じゃない?」と記憶をたどったり、「茨木のあのお店には行った?」と近所の話をしたり。送別会だからといって思い出話ばかりをしていたわけではなく、いつものラウンジと同じように話題が次々と変わっていきました。
そして木曜日に行われたのは、「関西に住むなら、たこ焼きを上手に焼けるようにならないと卒業できない!」という冗談から始まった、アレッシオのたこ焼き卒業試験。
タコだけでなく、ウインナーやキムチ、チーズなど好きな具材を持ち寄るのが関西SA流です。
「たこ焼き焼ける?」と、試験する側の私たちはちょっぴり先生気分。ところが、いざ始めてみるとアレッシオは迷うことなく次々とたこ焼きをひっくり返していきます。しかも、これがかなり上手!大阪出身のメンバーより手際がよく、「え、普通にめっちゃ上手いやん!」「大阪人より上手なんじゃない?」と、試験する側だったはずの私たちが驚く結果になりました。
すっかり自信をつけたアレッシオからは、「イタリアでたこ焼き屋やろうかな」なんて冗談も。一方で、ウインナーやキムチを入れる私たちを見て、「タコ以外を入れるのも普通なの?」と不思議そうにしていました。
ということで、たこ焼き卒業試験は文句なしの合格!
最後は具材を全部入れたスペシャルなたこ焼きまでしっかり完食し、大満足の夜になりました。
イタリアの本場の味を教わり、日本の家庭の味を一緒に楽しむ。こんな風にお互いの食文化を気軽にシェアできるのも、ソーシャルアパートメントならではだなと感じます。(ちなみに火曜日には、みんなからの「お返し」としてハンバーグとシチューを振る舞うディナー会も開催しました!)
言葉のいらないコミュニケーションと、日常と変わらない水曜日
アレッシオを語る上で欠かせないのが「ビリヤード」です。
ラウンジにいると「ビリヤードする?」と声をかけてくれて、気づけばいつも台の周りには人だかりができていました。
彼が入居したての頃、まだ日本語での会話が難しかった時期でも、ビリヤードという「言葉がいらない遊び」があったおかげで、あっという間にみんなと仲良くなれたのだと思います。
私自身もそれまでほとんどビリヤードをしたことがありませんでしたが、アレッシオに「こうするといいよ」と教えてもらいながら一緒に遊ぶようになりました。うまく打てたときには一緒になって喜んでくれて、いつの間にか私もビリヤードを楽しむようになっていました。
最終日の夜も、もちろんビリヤードで締めくくり。
この日はなぜか1ゲームごとに負けたチームが腕立て伏せをするというルールまでできていて、体力勝負の試合となりました。
最後のゲーム後はアレッシオが嬉しそうで、あとから負けたメンバーに結果を聞くと、「アレッシオは勝ち逃げだから(笑)。帰ってきたらリベンジマッチしないといけない」とのこと。すでに次の対戦の話をしているのがなんだか彼らしいなと思いました。
連日イベントが続いた送別ウィークですが、水曜日は夕食を作る人、コーヒーを飲む人、パソコンを開く人。アレッシオもいつも通りそこにいて、ごく自然に会話が生まれる。特別なイベントがなくても、ただラウンジに行けば誰かがいて、だらだらとおしゃべりできる。この「いつも通りの日常」も、送別ウィークの宝物のような一日でした。
またラウンジで会う日まで
「また絶対日本に戻ってくるよ。年内には!」
そう言い残して、アレッシオは9ヶ月暮らしたターミナルズ茨木を後にしました。
「ごはんを食べる」「ラウンジで話す」「ビリヤードをする」。普段から当たり前のようにやっていたことを、帰国前の5日間もみんなで繰り返しただけ。それが結果的に、最高に温かい「送別ウィーク」になりました。
彼がまた日本に戻ってきたら、ラウンジのいつもの席で誰かが「ごはん食べる?」と声をかけ、そのまま「ビリヤードする?」と続く。そんな未来が、今から楽しみでなりません。
(執筆:Saki 写真:Saki)